イタリアの華やかな祭典:カーニバルと復活祭を体験しよう!
イタリアの魅力は、歴史的建造物や美しい街並みだけではありません。年間を通して開催される情熱的なお祭りも、訪れる人々を魅了してやみません。今回は、イタリアを代表する二大イベント、「カーニバル」と「復活祭(パスクワ)」に注目し、その魅力と見どころをご紹介します。
謝肉祭から変身!華麗なる「カーニバル」
イタリア語で「カルネヴァーレ(Carnevale)」と呼ばれるカーニバルは、ラテン語の「肉を取り除く」という意味の「carnem levare(カルネム レヴァーレ)」に由来します。これは、キリスト教の「四旬節(しじゅんせつ)」という、断食や節制を行う期間に入る前に、人々が思いっきり食べて、飲んで、楽しもうとした名残です。
カーニバルの期間は移動祝日である復活祭に合わせて毎年変動しますが、一般的には2月下旬から3月上旬にかけて、数日から1週間ほど開催されます。この時期、イタリア各地では様々なカーニバルが催されますが、中でも特に有名なのは以下の3つです。
ヴェネツィア・カーニバル: 世界三大カーニバルのひとつに数えられるヴェネツィア・カーニバルは、その優雅さと神秘性で知られています。色とりどりの仮面(マスケラ)と豪華絢爛な衣装を身にまとった人々が、中世にタイムスリップしたかのような幻想的な街並みを練り歩きます。特に「天使の飛翔」や「仮面コンテスト」は必見です。
ヴィアレッジョ・カーニバル: トスカーナ州の海岸沿いの町、ヴィアレッジョで開催されるカーニバルは、巨大な張子(はりこ)の人形が飾られた山車(だし)が特徴です。これらの山車は、政治や社会問題などを風刺したユニークなものばかりで、見ているだけでも楽しめます。
イヴレーアのオレンジ合戦: ピエモンテ州のイヴレーアでは、カーニバルの最終日近くに「オレンジ合戦(Battaglia delle arance)」が行われます。これは、歴史的な衣装をまとった人々が、馬車に乗った兵士にオレンジを投げつけ、兵士がそれにオレンジで応戦するという、迫力満点のイベントです。
カーニバルの時期には、街中に紙吹雪(コリアンドロ)が舞い、人々は仮装やパレードを楽しみます。また、この時期ならではの揚げ菓子「キアッケレ(Chiacchiere)」や「カスタニョーレ(Castagnole)」なども、カーニバルを彩る大切な要素です。
キリストの復活を祝う「復活祭(パスクワ)」
イタリア語で「パスクワ(Pasqua)」と呼ばれる復活祭は、キリスト教徒にとって最も重要なお祭りの一つです。キリストが十字架にかけられて亡くなった後、3日目に復活したことを記念する祝日であり、イタリアでは国民の祝日となっています。
復活祭は、春分の日(3月21日)を過ぎた最初の満月の次の日曜日と定められており、毎年日程が変わります。復活祭の1週間前の日曜日を「枝の主日(Ramo d'ulivo)」といい、この日にはミサで祝福されたオリーブの枝が信者に配られます。これは、エルサレムに凱旋したキリストを人々が歓迎した際に、ヤシやオリーブの枝を振ったことに由来しています。
復活祭の週は「聖週間(Settimana Santa)」と呼ばれ、木曜日(最後の晩餐)、金曜日(キリストの受難)など、キリストの最後の出来事を記念する日々と続きます。そして、日曜日である復活祭当日、家族や親しい人々と集まり、特別な食事を共にします。
復活祭を象徴するものといえば、「卵」と「子羊」です。
イースターエッグ: 復活祭のシンボルとして、卵型のチョコレート菓子(Uovo di Pasqua)は欠かせません。大きな卵型のチョコレートの中には、おもちゃなどが入っており、子供たちに大人気です。
子羊: 復活祭の食卓には、子羊の料理が欠かせません。これは、キリストが「神の子羊」として人々の罪を贖ったとされることに由来しています。
また、復活祭の時期には、「コロンバ・パスクアーレ(Colomba pasquale)」という、鳩の形をした甘いパンもよく食べられます。
カーニバルで仮装と祝宴を楽しみ、四旬節を経て復活祭を迎える――。イタリアのお祭りは、人々の信仰心や地域文化と深く結びつき、世代を超えて受け継がれています。これらの祭りに参加することで、イタリアの熱気と伝統を肌で感じることができるでしょう。