🏘️路線価と公示価格:不動産の公的価格、その違いと役割を徹底解説


不動産価格には、実勢価格(市場で実際に取引される価格)の他に、国や地方自治体が定める公的な価格がいくつか存在します。その中でも、特に税金土地取引基準となるのが、**「路線価」「公示価格」**です。

これらの公的価格は、一見似ていますが、目的評価の主体基準日、そして価格水準明確な違いがあります。

この記事では、不動産取引相続の際に不可欠な知識である、路線価公示価格役割違いを、わかりやすく解説します。


💡公示価格(地価公示)とは?

公示価格は、国土交通省が毎年発表する、全国の標準地(選定された特定の地点の土地)の1平方メートルあたりの価格です。

項目詳細
評価の目的一般の土地取引指標公的な土地評価規準となること。
評価の主体国土交通省不動産鑑定士による鑑定評価)。
評価の基準日毎年1月1日
価格水準一般の取引価格最も近い水準正常な取引価格)。一物四価の中では最も高い水準となることが多いです。
公表時期毎年3月下旬。
評価方法標準地を選定し、更地としての鑑定評価を行う。
利用用途土地取引価格指標金融機関担保評価の参考、公共事業用地買収価格の算定基準など。

【ポイント】

公示価格は、土地が自由に取引される市場において、適正な価格水準を示すことを目的としており、公的価格の**「リーダー」**的な存在です。


🛣️路線価とは?

路線価には、主に相続税贈与税を計算するために使う**「相続税路線価」と、固定資産税などを計算するために使う「固定資産税路線価」の2種類がありますが、一般的に路線価という場合は相続税路線価**を指します。

相続税路線価(国税庁路線価)

国税庁が毎年発表する、道路に面した宅地1平方メートルあたりの価格です。

項目詳細
評価の目的相続税および贈与税財産評価額を算定すること。
評価の主体国税庁(税務署)。
評価の基準日毎年1月1日
価格水準公示価格の**約80%**を目安に設定される。
公表時期毎年7月上旬。
評価方法道路に面した標準的な宅地を評価し、その価格を路線に付与する。
利用用途相続税贈与税申告における土地財産評価

【ポイント】

相続税路線価は、相続税の計算という税務上の目的のために作られており、市場価格よりも意図的に低く設定されています。

固定資産税路線価

地方自治体(市町村など)が算定し、固定資産税の計算に使われます。

  • 価格水準: 公示価格の**約70%**を目安に設定されます。

  • 利用用途: 毎年課税される固定資産税都市計画税課税標準額の算定基準。


⚖️路線価と公示価格の決定的な違い

2つの公的価格の役割基準を比較することで、その違いを理解しましょう。

比較項目公示価格(地価公示)路線価(相続税路線価)
根拠法地価公示法相続税法
評価主体国土交通省国税庁(税務署)
評価目的一般取引指標相続税・贈与税課税標準
価格水準実勢価格に近い(100%公示価格の約80%
評価対象全国約2.6万地点標準地道路に面する宅地(評価対象がより広範囲
公表時期毎年3月下旬毎年7月上旬

✅まとめ:「一物四価」の中での役割

不動産の公的な価格は、一物四価(一つの土地に4つの価格がある)という考え方で整理されます。

  1. 実勢価格(時価): 市場での取引価格(最も高い)

  2. 公示価格: 公的な取引指標(実勢価格に最も近い)

  3. 相続税路線価: 相続税算定の基準(公示価格の8割程度)

  4. 固定資産税評価額: 固定資産税算定の基準(公示価格の7割程度)

公示価格は、あくまでも適正な価格水準を示す指標であり、路線価は、その指標を基に税金を計算するために調整された専用の評価額である、と理解しておくと、不動産や税金に関する手続きをスムーズに進めることができます。

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